看護師のはじめての転職|【ナースのお仕事navi】

はじめての転職~みんなはどうしてる?~

結婚や出産、夫の転勤など、女性ならではの人生の転機に加え、看護師さんの場合はその仕事のハードさもあって転職を考える機会は多いものですね。

ここでは、はじめて転職する看護師さんの多くが感じている不安とその解消方法、さらには失敗しない転職の仕方をご紹介したいと思います。

はじめて転職する看護師さんが抱く4つの不安

  1. 何からはじめたらいいのか分からない!
  2. 新しい職場になじめる?他の職場の雰囲気が分からない!
  3. 面接ではどんなことを聞かれるの?
  4. 今の病院をやめられるかしら??

不安1:何から始めればいいのか分からない!

1.いつから始める

転職活動をいつから始めるかに関しては人それぞれですが、多くの方が転職する半年~3ヶ月くらい前から求人を調べ始めているようです。
ご存知のように看護師さんはどの病院でも人手不足ですので、いざとなれば2週間程度あれば新しい職場を見つけることは可能です。しかし満足いく転職をするためには、ある程度準備期間を設けて、じっくりと比較検討することをおすすめします。中には1年前から転職サイトに登録し、自分の希望条件を伝えている人もいます。
また、今の病院を辞めないと転職活動をスタートできないと思い込んでいる方もいますが、そんなことはありません。仕事を続けながらでも新しい職場探しは可能です。ただし、忙しい勤務の合間を縫っての転職活動は大変ですので、転職サイトを活用するなど、できるだけ効率的に動くことが、転職を成功させるコツと言えるでしょう。

2.転職活動の流れ~いきなり求人検索はNGの理由

では実際の転職の流れをご紹介しましょう。
多くの方がイメージしているのが下記の流れではないでしょうか?

求人情報を調べる→気になる求人に応募する→面接を受ける→入職する

しかし、これではうまくいきません。というのも「事前準備」が抜けているからです。
事前準備とは「自分はナゼ転職したいのか?」を明確にすることです。
「今の病院が嫌だから」「何となく疲れたから」だけでなく、なぜ嫌なのか、何に疲れたのかをはっきりさせましょう。職場の雰囲気なのか、給料なのか。何がどうなれば自分の満足がいくのか。これは、結婚・出産などやむを得ない理由で転職するときも同じです。
新しい職場に何を求めるのかをはっきりさせておくことで、転職活動中も転職後も迷うことは少なくなります。
この事前準備がないままに、転職活動をスタートすると、いきなり膨大な求人量に出くわすはめになり、その中から何となく条件の良さそうな病院に転職して、「あれ?思っていたのと違う。」ということになりかねません。

はじめての転職では、多くの看護師さんが最初の病院とのギャップに戸惑うものです。
しかし、自分の中で「今回の転職目的は果たせた」という想いがあれば、多少のギャップがあっても納得がいくのではないでしょうか。

改めて転職の流れを整理しましょう。

  1. 退職理由・転職理由を明確にする!(新しい職場に求める条件が決まる)

  2. 求人を調べる(希望条件が明確なので、調べるのもスムーズに)

  3. 求人に応募する(応募書類の志望動機欄を書くにも手間取らない)

  4. 面接を受ける(志望理由がはっきりしているのでアピールしやすい)

  5. 入職する(入ってからも迷うことがなくなる)

いかがでしょう?事前準備の必要性をお分かりいただけましたね。
次は、具体的な転職理由・希望条件の明確化について考えてみましょう。

3.『絶対にゆずれない条件』と、『できれば叶えたい条件』をはっきりさせる。

さて、いざ希望条件を考え始めると「家から近くて、給与が高くて、休みが多くて、人間関係が良くて、建物がキレイで…」といくらでも欲が出てくるものです。
この全てを実現できる求人があれば理想ですが、現実はそうもいきません。
まずは希望条件を全て挙げた上で、絶対に譲れないものとそれ以外に分けましょう。

「絶対にゆずれない条件」とは?
これも人それぞれですが、例えば、残業の多さが嫌で転職する人は、ある程度定時に帰れることがゆずれない条件になるになるでしょうし、小さいお子さんをお持ちの場合、勤務時間や託児所などが絶対条件になるでしょう。ポイントは今回の転職目的を果たせることと、生活をきちんと維持できることの2つです。

「できれば叶えたい条件」の順位付けを!
できれば叶えたい条件に関しては、優先順位付けすることが大切です
(例)車で30分以内・今と同程度の給与>専門性のある病院>新しい施設

これらの条件をキチンと整理しておけば、見た目の良い求人に惑わされ、軽はずみな転職をしてしまうという事態を防ぐことができるでしょう。

とは言え、はじめての転職の場合、自分のスキルと比較してどれぐらいの希望が現実的なのかは迷うところ。そんな人は転職サイトを利用するのもひとつの方法です。まずは、あなたの希望条件を全て伝えて、優先順位付けの相談に乗ってもらうと良いでしょう。転職サイトのキャリアコンサルタントはその地域の求人に詳しいので「通勤時間をあと10分長くすれば、ぴったりの求人が…」「あなたの経験ならもう少し希望給与をあげてもいいのでは?」「この病院は春から新しい看護部長さんになって、有給がとりやすい体制がととのいましたよ」など、インターネットでは分からない情報を提供してくれるでしょう。

不安2:新しい職場になじめる?他の職場の雰囲気が分からない!

いくら希望条件を満たしていても、新しい職場でうまくやっていけるかは不安ですよね。はじめての転職の場合、他の病院を見たことがないだけに、その不安はよりいっそう大きいものでしょう。
ここでは、各病院の特徴をご紹介することで、少しでも不安解消の手助けになればと思います。

■大学病院・国公立病院
注射や点滴を看護師でなく医師がすることが多い
難病の患者さんが多い/様々な症例をみれる/最先端の医療機器が整っている
勉強会や研究が多い/看護そのものに携われる/組織が大きいので人間関係が複雑

■一般病院
看護に加えて、医師の診療補助が主な仕事内容になる。
採血・点滴・注射などは看護師の仕事

■クリニック
外来が中心、日勤のみのケースがほとんど
少人数スタッフで運営/急な休みを取りにくい
社会保険・福利厚生が整っていない場合がある
急変が少ない/看護業務以外の雑用も発生
あまり看護に携われず、スキルアップはできない

もちろん、同じ病院でも病棟か外来か、あるいは診療科目によっても働き方は大きく変わってきます。一番は、その病院で働いている看護師さんの生の声を聞くことですが、それはなかなか難しいですね。気になっている病院に知り合いがいない、病院の情報収集をする手段が無いという人は、転職サイトを利用してはいかがでしょう。実際にその病院に転職した人の感想や、看護部長の人柄、ここ数年の離職率など、気になる情報を教えてもらうことができます。

不安3:面接ではどんなことを聞かれるの??

面接で何を聞かれるのかも、気になりますね。
あなたの人柄を知るために、趣味を聞かれたり、家族構成を聞かれたりもしますが、一番のポイントは、「これまで何をしてきたか」「なぜ退職するのか」「この病院でどうなりたいのか」です。
これは、「不安1:何から始めればいいのか分からない!」でお伝えした、退職理由・転職理由を明確にするという事前準備をしていれば、ある程度答えられると思います。

ただし、気をつけたいのは伝え方。
「今の病院は残業が多くて忙しすぎるので辞めたいです。ここの病院は定時きっかりに帰れると聞いたので・・・」と、あまりにも正直に伝えてしまうのは考えもの。これから働こうという病院に対して失礼ですし、おそらく面接を通過しないでしょう。

嘘をつく必要はありませんが、できるだけネガティブな表現は避け、面接を受ける病院の志望理由に自然とつながるような答え方を心がけましょう。

(例1)忙しさを理由に辞めた場合・・・残業がイヤと聞こえないように。
「今の病院は、常に人手が足りずバタバタしていて、まともに看護に携われる時間がありません。こちらの病院では一人ひとりの患者様に対し、手厚い看護を実践していると聞き私の理想とする看護が実践できるのではと考え、志望いたします。」

(例2)人間関係が嫌で辞めた場合・・・あえて人間関係には触れず周辺のことから膨らませる。
「今の病院は人の入れ代わりが激しいため、配置換えも多く、私も既に内科、脳神経外科、オペ室などを担当し、近々また配置換えが予定されています。幅広い経験が積めるという点では良かったのですが、今後はもっと専門性を身につけたいと思い、今回転職するにいたりました。こちらの病院では・・・」

いくら人手不足で看護師さんの採用に困っているとしても、病院側は面接であなたの人柄をきっちりと見ています。一緒に働きたいと思われるよう、精一杯アピールしましょう。

特に「絶対入りたい!」という病院があるなら、事前に面接対策をしていくことをオススメします。面接対策とは、先に述べた転職理由や志望理由に加え、聞かれるであろう質問に対しての回答を準備し、練習してから本番に挑むことです。練習は一人でやってもかまいませんが、できれば家族や他の人に面接官役をやってもらったほうが、緊張感が出てよいでしょう。面接で聞かれることを知りたい人は転職サイトを利用しましょう。実際に聞かれることや面接官の人柄を教えてもらえる上に、あなたの経歴に合わせたアピールポイントや退職理由の伝え方、当日の服装など、具体的なアドバイスをしてもらえます。

不安4:今の病院を辞められるかしら??

忙しさを理由に辞めたいと考えている人は特に、今の病院を辞められるかどうかが不安ですよね。「自分が抜けたら、シフトがまわらないんじゃ…」「周りの人から白い目で見られそう」と気が引けるでしょう。だからと言って直前になって「明日で退職します」と言われる方が、よっぽど残されたメンバーが大変です。
転職の目処がつき次第、すみやかに師長に退職の意思を伝え、具体的な退職時期について相談するようにしましょう。早めに相談されることで病院側も何らかの対策が打てるものです。
退職理由については、「個人的な理由(家族の事情など)」と伝えるのが無難でしょう。

もちろん、さまざまな引き留めにあうでしょうし、途中で退職の意思が揺らぐことがあるかもしれません。
そんなときは、一度整理した転職理由を思い起こしてください。
今の病院に残って、あなたの希望は叶いますか?給与や残業時間、人間関係などあなたが転職したいと思うにいたった理由は解決しそうですか?
もし、解決に向けた具体的な糸口が見えたなら、今の病院に残ればいいでしょう。
しかし、そうでない場合は一時の感情に左右されず、毅然とした態度で退職の意思を貫きましょう。あなたの未来を決めるのはあなた自身です。

ただし注意したいのはケンカ別れにならないこと。
医療業界は狭いので、転職先の職場仲間と今の職場仲間がつながっていないとは限りません。退職時期を当初の希望より少し先延ばしにすることで万事うまくいくようなら、多少の譲歩も必要です。立つ鳥跡を濁さず。今の病院を円満退職することが、転職成功の第一歩です。

もちろん、退職日の変更により、転職できる日がずれそうな場合は、転職先の病院への報告・相談が必要です。転職先の病院ではあなたの入職日に合わせて、ユニフォームや寮など、いろいろな準備を進めていますし、シフトの一員としてカウントしているので、簡単には入職日の変更を受け入れてもらえないかもしれませんし、最悪の場合、内定の取消という事態にも…。転職サイトを利用すれば、退職交渉についてアドバイスをもらえるうえ、新しい職場への入職日の変更についても、あなたに代わって病院と交渉してくれます。苦労してもらった内定を、最後の最後で無駄にしないためにも、プロのキャリアコンサルタントと二人三脚での転職活動をおすすめします。