転職サイトのウラ側インタビュー

「なぜ転職サイトを使うべき?」「より上手く利用する方法は?」など…
気になる転職サイトの裏事情を、元キャリアコンサルタントのY・Nさんに伺いました。
Vol.2 転職サイトのメリットとは?
――ずばり、転職サイトの便利なところはどのような点ですか?

Y・Nさん:転職サイトの特徴はサイトによって違うのですが、共通するメリットをざっと挙げると…
- ハローワークやナースバンクにはない求人と出会える
- 相談員が看護師の仕事と転職に精通しているため話が通りやすい・相談しやすい
- 電話や相談の受付時間が長く、利用しやすい
- 面接日程調整など手間の掛かる作業を代行してもらえる
(そして対応が早い) - 待機期間がない
(ナースバンクでは求人に応募できるようになるまで数日間待機させられます) - e-ナースセンターやハローワーク端末よりサイトが使いやすい
- 求人と情報が豊富
といったところですね。特に利用価値があると思うのは、自分だけでは見つけられない求人と効率的に出会える、ということです。
自力で求人を探すとなると、まず限られた情報しか入手できませんし、それらが自分にピッタリな病院かどうかは、フタを開けてみなければわかりません。
一方、転職サイトには、キャリアコンサルタントという看護師転職の専門家が相談員として居て、転職相談に載ってくれるほか、看護師さんの代わりに膨大な求人の中から、看護師さんの考えている希望や適性に合いそうな求人をピックアップして紹介してくれます。看護師以外のあらゆる仕事を扱うハローワークの相談員にはできない、濃い相談をすることができます。何よりこの人たちは、○○県担当、といったように自分の専門エリアを持ち、そこにある病院のことを熟知していますから、わからないことや「あの病院ってどうなの?」といった調べるのが大変な疑問も、ただ聞けば教えてくれます。とても頼もしいと思いますよ。
また、転職サイトはそれぞれが独自に集めた求人をストックしています。私が働いていたときは、経営にトラブルはなかったか、イジメはなかったか……など、看護師さんの噂や実際に働いていた感想などを基準に、安心して働ける病院を中心に求人をご案内していました。私の案内で、入った看護師さんが不安になったりしたらイヤですからね。
転職サイトによっては、多くの病院の採用情報を把握していて、求人がなくても看護師を雇ってもらえるよう交渉できるような、力のある会社もありますね。そうでなくても、病院側はハローワークよりも、利用者数の多い転職サイトに求人を出す方がすぐ看護師さんを採用できるため、良い求人は転職サイトに集まりがちです。
――他に、転職サイトごとに違う利用メリットはありますか?
Y・Nさん:私の知る限りでは、次のようなサービスを提供している転職サイトがありますね。残念ながら、私の前職では全てやっていたわけではありませんが…。
- 自信のない面接に紹介会社の人が同行して、一緒にアピールしてくれる(ところもある)
- 給与やシフト、入職日などの交渉をしてくれる
- 携帯電話やスマートフォンからも求人検索できる
- わざわざ登録に行かなくても自宅に居ながら電話でカウンセリングを受けられる
- 面接対策や履歴書の作成をサポートしてくれる
- 転職時にお祝い金がもらえる
- 病院内の情報が詳しくわかる
など。一部をサービスとして実施しているところもあれば、ほとんどをカバーしているサイトもあります。転職サイトを利用するときの参考にすると良いかもしれませんね。
――面接対策や日程調整、条件交渉というのはどういうメリットがあるのでしょうか?

Y・Nさん:面接の対策は、合格できるように、プロが看護師さんに模擬面接を行うものですが、転職サイトによっては、病院の過去の面接傾向をよく知っていて、事前に教えてくれるところもあり、「タバコを吸う人はダメ」とか意外な採用条件も実際にあったりしますから、受けるだけで面接の結果はかなり違ってくると思います。
また、日程調整や条件交渉では、病院側への毎回の連絡や、質問、お給料面の交渉ごとなどを代わりにやってもらえるので、かなり転職活動の負担が軽減すると思います。転職サイトによっては、面接に同席をして、その場でミスをフォローしてくれたり、シフトや給与の交渉をしてくれたり…といったサポートを提供しているところもありました。
また、看護師さんの転職失敗談には、勤務条件や給与などが「入職してみたら事前に聞いていた内容と違っていた」といったことが多いです。病院と看護師さんの一対一ですと、こうしたトラブルはどうしても起きてしまいがちですが、転職サイトは第三者が間に立ち、しっかりと証人になるので安心です。
あと、最近では退職交渉のサポートをしてくれたり、転職した後も新しい職場に慣れるまで相談に乗ってくれるような、親身な転職サイトも出てきましたね。転職サイトを利用する前は、みなさん求人ばかりがお目当てでしたが、利用してみると、こうした「第三者が手伝ってくれる便利さ」に安心感を抱かれる方が非常に多かったです。
――病院内の情報がわかる、というのは具体的にどういった情報がわかるのですか?
Y・Nさん:例えば、人間関係や、一年単位での昇給のイメージ、求人情報には現れてこない勤務時間と残業時間の実像、残業代のカウント方法、看護部長やプリセプターの性格面と経歴面、そこの病院の看護師さんがこぼしている本音や愚痴…といったところでしょうか。
情報量は転職サイトによりますが、インターネットやハローワーク、ナースバンクでは得ることのできないことまで詳しく教えてくれるところがあるのは事実です。この詳しい情報提供は、私が働いていた職場でも多少は行っていましたが、看護師さんからは「期待していた以上に良かった」と感想を頂くことが多かったです。というのも、病院見学だけでは、時間・環境に制約があって、職場の本質的な部分はあまりよくわからないというんです。また、うかつに見学を入れると、そのまま考えるヒマもなく面接に突入してしまうことも多いということで、面接や見学の前の段階で詳しいことがわかるのは安心だとおっしゃっていました。
慎重に職場を選ぶなら、転職サイトを利用することで、より多くの情報を即座に集められる利点があります。転職サイトから提供された情報以外にも、気になったことは転職サイトを通じて病院に質問できますから。もちろん、転職サイトならどこでも良いというのではなく、悪い転職サイトに引っかからないよう、評判は気にされた方が良いですが…。