産業看護職(産業保健師・産業看護師)について
『産業看護職』とは企業で働く保健師(産業保健師)・看護師(産業看護師)のこと。
産業看護職は、従業員を病気や怪我から守ることが仕事です。それに加えて近年は、メンタルケアも大切な仕事です。
テレビでも話題になっているように不景気や人間関係の変化により、企業で働く人は多くのストレスを抱えています。体調を崩す人やうつ病などの心の病にかかる人が増えてきました。
産業看護職は、こうした従業員のメンタルのケアや病気・けがの予防・治療を行います。
産業看護職の仕事内容
主な仕事内容は、労働者の健康管理・増進と従業員の相談者としてのメンタルヘルスケアです。産業医がいる場合は、一緒に健康管理のプランを立てるなど協力し合って働くこともあります。
具体的には…
- 社員の働き方や労働環境・安全性などのモニタリング
- 定期健康診断結果に基づく社員の健康状態と労働量のバランスの監視、メンタルケア
- 人事担当者への産業医勧告の支援
- 社員の労働時間のチェック
- 企業の労務・厚生費の効率化および運用提案
- 問診票や健康診断結果、病欠状況などを基にした組織の健康状態データ集計
- 集計したデータの管理(ワードやエクセルなどパソコンを使用)
- 健康相談室(保健室)での相談・アドバイス業務
など。
病院と企業の違い
病院で働く場合と、企業で働く場合とで、主に下記のような違いがあります。
夜勤&土日出勤がない
多くの企業は午前9時から午後6時まで、休みも土日が基本です。こうした企業の営業時間に合わせて働くため、日勤帯勤務・土日休みになるのがメリット。(一部、企業によっては、土日出勤が必要となる場合があります)
デスクワークが多い
比較的事務の多い仕事内容。従業員の健康管理のためのデータ集計などのデスクワークが仕事の約4割を占めていますので、肉体労働が少なく、落ち着いて働きたい方にも向いています。
医療事故がない
企業で働くため、重篤な患者さんを診ることがありません。命に関わるような大きな失敗のリスクがないのでストレスが少なく、長く働かれる方が多いです。
産業看護職に就くためには
産業保健師になるためには
資格:保健師資格
産業保健師になるためには、所定の保健師養成課程(1年以上)を修了し『保健師』という国家資格に合格する必要があります。
詳しくはこちら⇒【保健師 資格試験概要】
条件
産業保健師になるための条件は特にありません。看護師免許と保健師資格があればどなたでも企業で働くことができます。
ただし、『登録産業保健師』として日本産業衛生学会に登録するためには次のような条件があります。
日本産業衛生学会保険部の行うスクーリングで最低50単位(50時間)取得
6000字程度の論文の提出
これら全ての条件を満たすことで学会に登録することができます。
学会に登録することで産業保健師としてのキャリアに箔が付きますので、専門性を高めたい方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
産業看護師になるためには
条件
産業看護師になるための条件は特にありません。看護師免許さえあればどなたでも企業で働くことができます。
ただし、『登録産業看護師』として学会登録するためには次のような条件があります。
産業看護の実務経験が2年以上あること
第一種衛生管理者の資格を取得していること
日本産業衛生学会産業看護部会が行う『産業看護基礎コース』と『産業看護講座Nコース』の全課程を修了していること
これら全ての条件を満たすことで『登録産業看護師』になることができます。
さらに、『登録産業看護師』として活躍し続けるためには5年ごとに登録の更新が必要になります。更新するためには日本産業衛生学会産業看護部会が行う産業看護職継続教育システムの実力アップコースカリキュラムで20単位以上を取得していることが必要です。
学会登録する上で必要な第一種衛生管理者の資格は、企業から応募要件として求められることも多く、また『登録産業保健師』同様、『登録産業看護師』もキャリアに箔が付くと言えます。専門性を高めたい方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。